栞の憂鬱

9/9
前へ
/147ページ
次へ
ケーキを食べ終えた後は無言のまま1時間が経ち、やっとあたしは開放された。 自分の部屋に戻ると、緊張でカチンコチンだった体は一気に緩み、あたしはベッドの上にドスンッと体を投げ出した。 やっぱり自分の部屋が落ち着く。 明日はバイトがあるらしいからのんびり過ごせるけど、月曜日から始まるまぁちゃんとの登下校に不安は募っていく。 付き合うってこんなに大変なものなの? 「もっと甘く、ときめくものかと思ってた」 枕を抱きしめ顔を枕に埋める。 あたしの恋は……恋と呼べる代物じゃないけど、ときめくというより、怯える……だわ。 まぁちゃんも……悪い……人じゃ……ないんだ……け……ど―――…… 余程疲れたのだろう。 あたしはあっという間に睡魔に襲われ、深い深い夢の中へと、堕ちていった―――  
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

273人が本棚に入れています
本棚に追加