273人が本棚に入れています
本棚に追加
そういえば……と早歩きでまぁちゃんに着いていきながら思い出した。
まぁちゃんって、めちゃめちゃ低血圧だったっけ!?
最近のまぁちゃんを知らなかったからか、低血圧だったことをすっかり忘れていたのだ。
うぅ……。
もしもフラれなかったら、これが後1年続くの!?
あたしの清々しい朝が過去のものになった瞬間だった。
―*―
「ハァ……ハァ……」
バス停に着く頃にはあたしの息はあがり、肩で呼吸をする程だった。
何気なく時計を見ると7時53分。
………………えっ!?
いつも5~6分かかる道を、半分の3分で歩いたのだ!!
疲れるはずよね。
「運動不足だな。体鍛えろよ」
大きく深呼吸をして息を整えていると、ふいに頭上からまぁちゃんの声がした。
「そ、そうだね。でも明日から、もう少し余裕持って登校しない?」
頑張った!
あたしは頑張ってあのまぁちゃんに意義申し立てをしたのだ。
するとまぁちゃんは、じぃ――ッとあたしを見据えたまま動かず、その代わりにあたしの心臓がバクバクと激しく動き出した。
やっぱり無理かぁ。
諦めかけたその時だった。
「45分」
そっぽを向いたまま言われた言葉に数秒固まったけど、でもまぁちゃんの言葉が意味するものが待ち合わせの時間だとすぐに気付いた。
本日、初めての会話。
待ち合わせ時間を5分も早めてくれたのも嬉しかったけど、『会話』になったことのほうが嬉しかった。
「あ、ありがとう」
それっきりまた無口なまぁちゃんになったけど、それでも嬉しかったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!