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約20分遅いバスになるだけで、こうも違うものかと初めて知った。
先週まで乗っていたバスは余裕で座席に座れたのに、今乗っているバスは車内に乗り込むだけでも一苦労。
入口の段差に立つ人もいる程だ。
車内はぎゅうぎゅうだから揺れてもこけることはないけど、カーブで曲がる時全体重を後ろにいるサラリーマンの人にかけてしまい、ジロッと睨まれてしまった。
「す……すみません」
あたしの小さな声は、まわりの雑音に掻き消された。
だけど、まぁちゃんには聞こえてたみたいで……。
「ほら!俺の体にくっついてろ」
と、あたしの手を自分の体に巻き付けた。
「えっ!??あ、あの……ありがとう」
こ、こんな体勢って。
やばくない!?
あたしはドキドキしながら、まぁちゃんにお礼を言ったけど、恥ずかしくてまぁちゃんの顔を見ることが出来ない。
「…………」
まぁちゃんは何も言わない。
もしかして、怒ってるとか!?
あたしが鈍臭いから。
……有り得るかも。
凹んでるあたしの腕に、まぁちゃんの体温がシャツ越しに伝わってくる。
そういえば
あたしは、今―――
まぁちゃんの腕の中にいるのだ!!
どうしよう!?
不可抗力とは言え、こんな……。
どうにかして、体の位置をずらそうとしたんだけど、まぁちゃんに睨まれてしまった。
「おい。頼むから大人しくしててくれ」
そう言うまぁちゃんの顔が赤いのは……気のせい?
「ごめんなさい」
とりあえず謝り、言われた通りに大人しくしていることにした。
だけど―――
やっぱり腕の中っていうのが気になって、普通にいることなんか出来ない。
気にしちゃいけないと思っても、まぁちゃんに触れている部分が意識する。
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