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ドキドキドキドキ……。
鼓動が大きく胸を打つ。
まぁちゃんに聞こえちゃう。
そう思うと更に心臓が口から飛び出そうな程勢いを増した。
あたしの顔はまぁちゃんの胸辺りにあり、まぁちゃんの体から甘い香りがしてあたしはとろけそうになる。
「―――…前、次は星陵高校前、お降りの方はお知らせ下さい」
アナウンスが聞こえ、まぁちゃんは腕を伸ばしボタンを押した。
「手繋いでろよ」
「?」
どうして?と不思議に思ったけど、その理由もすぐにわかった。
車内のほとんどの人達が社会人で、ここで降りるのはあたしとまぁちゃんの2人。
つまり乗降口まではぎゅうぎゅうに詰め込まれている人達の間を通って行かなければならないのだ。
バスが停車しプシューッとドアの開く音がする。
と同時にまぁちゃんがあたしの手を取り、人込みを掻き分け前に進む。
あたしはまぁちゃんの手が離れないように、ついて行くのに必死だった。
なんとか降りた時には、あたしはボロボロに疲れ果てていた。
「大丈夫か?」
頭にまぁちゃんの手を感じた。
見ると、ボサボサになったあたしの髪の毛を手でといている。
キャァ――――ッ!!
お願いだから止めてぇ!!
せっかく治まった鼓動が、また激しく胸を打ち始めた。
「だ、大丈夫。ありがとう」
「…………」
あたしの返事を聞き、まぁちゃんは歩き出した。
今度はゆっくりと――
あたしはまぁちゃんの一歩後ろを維持して歩いていると、急にまぁちゃんが立ち止まった。
「おい。隣りを歩け」
どうやら後ろを歩いていたのが気に入らないらしい。
あたしは頷き真っ赤になりながらまぁちゃんの横に立つと、まぁちゃんは納得したのかまた歩き始めた。
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