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でも先輩達のまぁちゃんを好きって気持ちは羨ましい限りだ。
あたしはまぁちゃんのことが好きで付き合い出したわけじゃない。
何回も言うが、横柄なまぁちゃんに断ることが出来ず、付き合うようになった。
もしもまぁちゃんがあたしにも先輩達にするように優しく接してくれたら、好きになると思う。
もしも、まぁちゃんが本当にあたしのことが好きなら……。
「栞は、何にする?」
「え?えっと、じゃあチョコレートケーキ」
まぁちゃんはあたしの注文を聞くと先輩達にも尋ね、呼び出しボタンを押した。
店内は空いていて、すぐに店員がやって来た。
「チーズケーキを2つと、チョコパを1つ、チョコレートケーキを1つと、ショートケーキを2つとアイスクリームを1つと、ハンバーガープレートを1つ。以上で」
まぁちゃんはみんなに確かめることなく、1度聞いた注文をスラスラと言った。
「では、ご注文を繰り返させていただきます。え~、チーズケーキが2つにチョコパが1つ……」
注文を確認すると店員は足早に立ち去り、それを皮切りに先輩達が一斉に喋り始めた。
「篠瀬くん知ってる?A組の増田さんが……」
「あ~!知ってる!」
「B組の片尾くんと……」
「え~、あの噂本当だったの!?」
「そういえば、片尾くんってさ……」
先輩達の話はどれもあたしにはわからない話で、あからさまにあたしが会話に入れないように仕向けているのがバレバレだった。
噂話で始まり、まぁちゃんの武勇伝、そして進路のこと。
先輩達のマシンガントーク炸裂。
それをまぁちゃんは笑顔で聞いていた。
つまんない……。
あたしは最後まで一言も言葉を発することなく、あらぬ方向を見て帰りの時を待った。
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