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● 栞side story ●
まぁちゃんと付き合い出してから、あたしの平凡な毎日は変わった。
1つ目は朝の登校時間。
それは余裕の無い朝に変貌。
2つ目は登下校の相手が、ちぃちゃんからまぁちゃんに変わったこと。
そして3つ目が1番の悩みでもある。
今まで平々凡々、地味に目立たず生きてきたのに、学校一人気者の彼女になったおかげで、あたしはちょっとした有名人になった。
あたしは知らないのにすれ違う人はあたしのことを知っている状態で、廊下を歩くだけで皆の視線があたしに集まる。
そこまではいい。
まだ良しとしよう。
問題はその視線。
そして、聞こえよがしに言われる非難・中傷である。
例えば……
今、あたしは前の授業でやった自習のレポートを職員室に持って行ってるのだが、廊下には休み時間ということもありまばらに生徒がたむろしている。
そしてあたしに気付くと敵視剥き出しの視線をあたしに向け、必要以上に大きな声で話し出す。
「篠瀬先輩の彼女知ってる?」
「あ~、聞いたことあるよ!なんかすっごいデブでブスらしいね!」
「そうそう!マジ有り得ないよね!?美男子と野獣ってヤツ?」
「きゃはは!由佳ひどくない!?」これが毎日。
いや、毎回の間違いだ。
確かに本当のことだから言われても仕方ないけど、こうも堂々と言うのもどうかと思うよ。
言われ続けて慣れてきたとは言え、やっぱり傷ついてる自分がいた。
「ふんだ!!性格ブスよりマシだよぉだ!!」
表立って言えないから、いつもあたしは心の中で叫んでいる。
―*―
先生にクラス全員のレポートを渡し、あたしは職員室を出た。
さっきの軍団がまだいる。
でも教室に戻るには今来た道を戻る以外方法は無く、仕方なくあたしは歩き出した。
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