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● 栞side story ●
バンッ!!
「栞ちゃん!?お兄と付き合い出したって本当!?」
勢いよく開いたドアから顔を覗かせたのはちぃちゃん。
顔面蒼白……とまではいかないにしても、驚愕の色丸出しで部屋の中に駆け込んできた。
「えっ……?うん」
もう、ちぃちゃんの耳にも入ったんだ。
ということはあたし達本当に『付き合ってる』んだ。
「栞ちゃんからじゃないよね!?お兄が告白したの!?」
「っていうか、お兄ってば栞ちゃんのこと好きだったんだぁ」
「あっ!付き合ってるってことは、栞ちゃんもお兄のこと好きだったの!?」
息継ぎはいつしてるの?って感心する程の質問の嵐。
普段おっとりなちぃちゃんからは想像も出来ない位の言葉が発せられている。
「ち、ちぃちゃん、落ち着いて?」
「落ち着いてって落ち着けるわけないじゃない!!…………あれ?あたし、どうして栞ちゃんの部屋にいるの?」
「!!!?」
興奮した自分の大きな声に我に返り、一瞬にして『いつもの』ちぃちゃんに戻った。
ある意味怖い。
でも戻ったのなら、よかった。
「あの、あのね。昨日、呼び出されて……、付き合えって言われて」
脅迫されてと言いたかったけど、それは何とか飲み込んだ。「OKしたんでしょ?」
ニコニコ笑いながら、ゆっくりと喋るちぃちゃんにホッと溜息を漏らす。
「ねぇねぇ、何て言われたの?」
「えっ?『付き合え』って」
「…………」
「…………」
しばしの沈黙の後「付き合え?」と、ちぃちゃんはあたしの言葉を繰り返した。
あたしはコクンと頷き、昨日のまぁちゃんとのやり取りを説明した。
「何それ~!?」
ちぃちゃんは兄貴の言動に呆れ返るほかなかった。
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