栞の憂鬱

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あたしは恥ずかしくなった。 初めてされた告白が 夢にまで見た告白が 脅迫じみた告白だなんて――― ときめきもなく 喜びもなく 人に自慢出来るような 恥ずかしがりながら でも胸を張って言えるような 甘い告白を夢見てたのに――― どうしてまぁちゃんはあたしに告白したんだろう。 「栞ちゃんには悪いけど、でもお兄らしいといえばお兄らしい告白だよね。許してあげて?」 あたしの手を両手で握り心配そうに見つめるちぃちゃん。 不思議だね。 兄妹なのに全く似てなくて正反対の性格。 誰にでも優しい笑顔で、まわりにいる人を和ませるちぃちゃん。 まぁちゃんは外面がいいって言うか、心を開いた人には飾らない素の自分を見せるけど、そうでない人にはとても愛嬌が良くて、優しい。 そう考えたらあたしには心を開いてくれてるってことだけど開き過ぎじゃない? 「大丈夫よ!まぁちゃんだって良い所はあるんだし……」 多分と付け加えたいけど、そこはあえて言わない。 「よかったぁ!栞ちゃん、お兄のことよろしくね」 ちぃちゃんはあたしの言葉を聞き、パァ―ッと顔を明るくさせた。 口に手をあてて小さくニコニコと笑うちぃちゃんは可愛い。 小さくて可憐ではかなげで、守らなきゃって思える女の子。 あたしより少し長めの髪はきちんと美容室で手入れされていて、後ろ髪より短めの横髪は顔にかかり、女らしさも感じる。 いつも笑顔のちぃちゃんの目元は優しく細められ、女のあたしが見ても可愛いと思える。 「栞ちゃん?」 「えっ?あ、うん、あたしこそ……よろしくね」 あたしは慌てて取ってつけたように言葉を並べた。 ちぃちゃんはそんなあたしに気付くことなく「あ、忘れてた」と舌をペロっと出して自分で頭を小突く。 「お兄に栞ちゃんを呼んでこいって言われてたんだった」 ………… えぇ―――――――ッ!! 思わずちぃちゃんから身を引いたのは言うまでもない……。  
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