ヒトツノアイトヒトツノウラナイ

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私は再びテレビに視線を向け、ため息をついた。 付き合いはじめの頃は、よく寿彦と一緒に途中まで通勤していた。 それが最近では、途中までどころか、一緒に玄関すら出てくれなくなった。 お互い帰宅時間も違うから、なかなか会話もする時間もなくなってきてしまった。 付き合って二年で同棲し、それからまた一年がたった。 ・・・寿彦が冷めてきているのが、なんとなくわかる。 以前の彼はもっとよく笑っていた気がする。 でも、最近よく見る顔は、ムスッとしているか、つまらなさそうな顔ばかりだ。 「私たち、そろそろダメなのかなぁ」 思わずため息まじりに言葉がもれた。 ふとテレビの時計を見て、私は慌てて家を飛び出した。
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