ヒトツノアイトヒトツノウラナイ

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会社にはなんとかギリギリ間に合った。 「歩莉(あゆり)、もう少しで遅刻だったね」 私が慌てて職場に入ると、同僚の奏絵(かなえ)が声をかけてきた。 「今朝さぁ、のんびりしすぎちゃってさぁ」 「彼氏は声かけてくれなかったの?」 「あいつならとっくに会社行っちゃったわよ」 今は彼氏の話しなんてしたくないのに、奏絵がわざわざ聞いてくるなんて。 やっぱり私は今日占い最下位なんだわ。 「どうかしたの?」 「別に」 不思議そうな顔をして私を見る彼女に、私は少しぶっきらぼうに受け答えをして、自分の仕事を始めた。
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