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「離してくれないか?」
男の腕をつかんだ。
「彼女は僕の恋人なんだ」
そう言うとあっさりいなくなった。
男持ちには興味なかった、ということか。
「大丈夫?」
彼女の隣に腰かけた。
「彼に悪気はなかったんだよ」
1ヶ月前と同じことをわざと言った。
同じようにまた会うなんて…
笑みが零れた。
「…恭司」
小さな声で彼女は言った。
消えてしまいそうなくらい小さな小さな声で。
「李依子」
名前を呼ぶと彼女は僕に抱きついた。久しぶりに感じる彼女の温もり。
離したくない。
離れたくない。
もう絶対離さない…
たくさんの人が行き交う街で僕たちは再会した。
声に出さずにはいられなくて、李依子の耳元で囁いた。
「やっぱり運命なんだよ」
end
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