居酒屋と行き倒れ

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「お」 ガタッと引き戸が開くと、そこには昨日保護したキャストの少女が立っていた。 バンは昨晩、付きっきりで彼女の看病をした。装甲パーツを外して泥で汚れた箇所を拭いてやり、抱きかかえて彼女を布団に運んだ。異性に触れる機会など皆無だった彼には、なかなか緊張する作業だった。 何故か鼻息を荒くして立つ少女に何と声を掛ければいいか分からなかったが、 「おはよう。気分はどうだ?」 と言ってみた。 「あの…」 少女の口元から液が垂れる。 キャストって、涎を垂らすのか? 「それ…下さい!」 震える手でバンの手元を指し示す。 彼はあつあつの卵焼きと、暖かい味噌汁を厨房で作っていた。 なるほど、それで肩を震わして昨日よりもぎらぎらとした目でこちらを見ているのか…。
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