居酒屋と行き倒れ

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「兄ちゃん、サグラキ酒もう一本な!」 「俺、ビールな!」 ニューデイズの小さな居酒屋。畑仕事帰りのニューマンの親父達が口々に注文を入れる。 「はいよ!ちょっと待ってな!」 注文を受け、厨房から男が返事をする。この居酒屋の主、バン・ヒイラギである。彼は突き出しの卵焼きを焼く手を一旦止めると、冷蔵庫からサグラキ酒とビールの瓶を一本ずつ取り出した。手際良くタオルで瓶の水滴を拭き取ると、収穫の話で盛り上がる親父達のテーブルに置いた。 「お待ちどう!」 「お、来た来た!さぁ野郎共、乾杯だ!」 杯を掲げ、歓声を上げる親父達。彼らは皆、この居酒屋の地元に住む、小粋な親父達である。毎日の畑仕事の後、バンの居酒屋で酒と旨い飯と共に一日を締めるのが彼らの日課であり、楽しみでもあるのだ。
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