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目をぴったりと閉じていて、意識があるかどうか良く分からない。見ると、見事な色の緑髪は酷く跳ね放題で、体のパーツは傷や泥で見るも無残な状態だった。
この子は…何があったんだ…?
少女の顔を上げたまま、バンはどうしようかと考え込む。
すると、少女の目がゆっくりと開いた。赤くて、深い色。しかしながら、何処か虚ろな雰囲気を漂わせている。
「…」
「気がついたか?」
バンは彼女に声を掛けてみた。が、やはり少女の目は焦点を定めている様ではなく、返事を期待できそうに無かった。
それでも、死に掛けている人間を放っておく訳にもいかないので、バンは何度も何度も声を掛けた。
それでもやはり返事が無いので、「これはもう駄目か…?」と諦めかけたその時、
「助け…て。怖…い。おなか…すいた…」
と少女は呟き、再び目を閉じてしまった。
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