居酒屋と行き倒れ

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「はっ!」 彼女は、夢を見ていた。 よく覚えてないが、何だか恐ろしい夢だった気がする。 その証拠に、彼女の身体は少し発熱を始めていた。 放熱をしなければ。精密パーツに影響が出るかもしれない。 「うーん…」 彼女はゆっくりと伸びをすると、深緑の髪を大きく広げて放熱を試みた。彼女の髪1本1本の毛根に放熱孔が備えつけられており、髪を広げる事で効率の良い放熱ができるのだった。 体内の熱を空気と共に吐き出す事で、彼女の鮮やかな髪はふわりと浮き上がる。宇宙空間で髪を解けばこんな感じになるだろうと、彼女は想像した。
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