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放熱を終えると、彼女の髪は緩やかに降りていく。熱で暖められた髪が首筋に当たるとどこか心地が良い。彼女は、この感覚が好きだった。
そういえば。
此処は、どこだろう。
彼女は辺りを見回す。
5畳程度の小さな畳の部屋。彼女はその部屋に敷かれた質素な布団の上に居た。いつの間にやら、此処で眠っていたようだ。隅に目をやると、同じ様な布団がもう一式敷かれていた。枕が有らん方向を向き、掛け布団は無造作に畳まれている。
私は、どうして此処にいるんだろう…
そう思った矢先、ぐぅと腹が鳴る。
そこで初めて、自分が空腹だった事に気づく。何か食べなければ…。
嗅覚センサーの感度を上げてみる。
…おや、良い匂いがするじゃないか。
この部屋の外だ!
彼女は布団から飛び上がると、ラッピーがニューデイズ風にデザインされた引き戸を勢い良く開けた。
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