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「先生、原稿を受け取りに来ました。」
出版社の担当が作家の家を訪ねた。
先生とは言え、担当編集者の方が年上で、作家とは一回りするかと言う年齢差である。
電子書籍やケータイ小説という形態が出来た今日も彼の創作活動は原稿用紙にペンを走らせると言う物であった。
「先生、丸海先生!」
この専門学校を出たばかりの若き作家は現代人に似合わず電子機器の扱いを不得意としておりファックスも使えないといった具合であった為、出版社の人間が彼の自宅兼仕事場に直接原稿を受取りに行かなければならなかった。
若手作家、丸海件。
都心からは遠く、彼の家は出版社から電車でおよそ二時間を要する山里に位置していた。
田舎も良い所である。
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