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外の雨は、落ち着き出し
雷はいつの間にか去っていた
しとしとという音が聞こえそうなくらいの雨音
私は二人の申し出を受け、今、藤堂家の客間に居る
先に寒さを訴えた朝君からシャワーを浴びに行ったため、夕君と二人で、お客様用の布団を客間に敷いていた
「瑞穂…そっちのシーツ引っ張って」
「こう?」
「うん…綺麗に出来た♪」
真正面で微笑む夕君
まだ濡れ気味の前髪を掻き上げたため、額が露になる
サラサラの黒髪がオールバックになり大人っぽく見えた
気付かず見つめている私がいた
「瑞穂?」
「えっ?」
「じっと見てどうしたの?なんか付いてる?」
「あっ…ち、違うよ!そ、その…そ、そう!お泊まりなんて久しぶりだなぁって思ってさ」
見つめていたのを誤魔化すために慌てて言った
「本当だね♪昔は一緒に寝た…」
「そうだったね…」
「寂しくない?」
「えっ?」
「寂しかったら…一緒に寝てあげるよ?」
「えっ?一緒に!?」
私の反応に、楽しげに微笑む夕君
その微笑みがイタズラっぽく見えた
「またからかった…」
唇尖らせ、夕君を軽く睨んだ
「あはは♪ごめん、ごめん!瑞穂も立派な女性になっちゃったからね。一緒はマズいよね…」
「じょ、女性!?私が?」
からかわれたことよりも、女性扱いされたことにドキッとして聞き返してしまった
「瑞穂は立派な女性だよ!さっきも…柔らかかった…」
「えっ!?柔!?」
バスルームでの出来事思い出してお互い頬を染めた
「うん…凄く柔らかかった…」
二度繰り返す夕君の言葉に、とてつもなく恥ずかしくなり
「もう!エッチ!!」
手元の枕を投げた
「ちょっ!?瑞穂!!危ないだろ?」
「夕君が変なこと言うからじゃない!!」
今度は掛け布団を夕君に向かってかぶそうと捲って投げた
寸でで掴む夕君
「やったな♪」
掴み取った掛け布団を、今度は夕君が私に被せようと立ち上がった
「捕まえれるものならやってみな♪」
「よしっ!瑞穂覚悟!!」
逃げ回る私を布団両手に追いかける夕君
そんなに広くない客間を必死に逃げ回った
「キャッ!?」
私は畳のヘリに足を滑らせ、後ろに転びそうになってしまった
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