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「あれって……キス……だったのかなぁ……でも、もしかしたら…たまたま目を開けた時が、近かっただけかも…………ってことないよね……感触があったし……………それに朝君も……」
めちゃくちゃ近かった朝君との距離にも、今更ながらドキンドキンと胸が鳴る
夕君が去ったあと、リビングで一人ぼっちで居られなくて、すぐに客間に駆け込んだ
私はさっきから独り言を大きな声で発している
夕君と敷いた布団の上で、膝を抱え、膝に顎を乗せ揺れる
「夕君も、朝君も、何か言い掛けてそのままだし…」
(何て言おうとしたのかな…)
二人ともが、何か言おうとした時の状況をまた思い出す
夕君には、この客間で後ろから抱き締められて…
朝君には、リビングで覆い被さるみたいな態勢で…
また胸がドキンドキンとうるさく鳴った
「何だろう…これ…」
自分の胸を押さえ、激しく叩く心臓の鼓動の原因を考えた
何にドキドキしてるの?
今までだって、楽しみな事や、緊張する場面とか、遊園地などのアトラクション後には、同じようにドキドキしたけど…
それとはちょっと違うような…
ドキンドキンドキンドキン
止まらない
顔も熱くなり、背中がじんわり汗ばむ
「ん~~もう!わかんないよ!!」
おさまらない胸を抱えこむように、布団を被った
胎児のように丸まり、胸を押さえる
被った布団からは、微かに夕君の香りがした気がした
抱き締めた自分の服からは朝君の香りがした気がした
まるで同時に二人から包まれているような感覚
また胸が忙しなく鳴る
「もう寝れない!!」
布団を跳ね除け、身体を起こした
電気を消し忘れていた部屋は明るく、一時でも布団に包まっていた私の目を刺激した
「眩しい…」
そのまま私は客間から庭に繋がるガラス障子を開け、外の景色を覗いた
雨雲は去り、今では綺麗な星空が煌めく
数時間前の雷も、雨も、なかったかのように綺麗な星空
「綺麗だな………あっ、あの星………ん~…なんだったっけ?夕君なら知ってるよね♪…あっ……」
夕君を思い出してまたドキンとした
「もう!考えない考えない!!」
今度は庭に目を落とした
壁に丸い物をぶつけた跡が…
「サッカーボールの跡?」
朝君がボールを蹴って、壁に当てるのを想像した
またドキンとした
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