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~朝弥~
風呂から上がった後、リビングでミィと戯れ合った勢いで、あんな態勢になった…
(あのままなら…キス…出来そうだったのになぁ…夕弥さえ入って来なけりゃ!)
「チッ!!」
ベッドに仰向けで寝転がり天井を見つめ舌打ちした
バスルームで抱き合っていたように見えた一件があったため、夕弥に越されまいと押し気味に行動してしまう自分がいる
欲しいものは欲しい…今までもそうだった
努力もしたし、我儘通したことだってある
でも…ミィは物や、我儘で手に入る訳じゃない
(アイツにだって気持ちあるし…)
夕弥が入って来ずに、あのまま告白出来てたら…
ミィは俺を意識してくれるようになっただろうか…
幼なじみ要素が抜けないミィに、自分が男だと意識させるには…
「あぁ!!わかんねぇよ!!」
髪を掻き毟り、うつ伏せる
枕を抱え、口に当てた
「ミィが好きだーー!!」
枕の中で籠もる俺の声
俺の素直な気持ちの叫び
~夕弥~
お風呂から上がってリビングに向かったら、朝弥と瑞穂があんな態勢に…
息も心臓も止まった
声も出なかった
朝弥の挑戦的な言葉
慌てた瑞穂
朝弥が去ったあと、瑞穂が焦ったように言い訳をする
(偶然なら許すのか?やっぱり朝弥の方が好きなのか?)
幼い頃から、いろいろ我慢してきた
僕がもらったオモチャも、朝弥が使いたいと言えば貸してやり…どちらか好きな方を選べと言われたら、朝弥の方が先に選ぶ…そんなことにも全部我慢してきた
『お兄ちゃんだから』
そのフレーズを何度聞かされたことか…
でも、瑞穂だけは、我慢出来ない
譲れない
朝弥が欲しいと言ったとしても
でも…もし、瑞穂が朝弥を好きだと言ったら…
僕の想いは…我慢で耐えうるのだろうか…今までみたいに…
朝弥の様に、好きなものは好き、欲しいものは欲しいと言えない自分がいる
でも、さっきみたいに見せつけられるのは耐えられない!
告白も、朝弥の声で邪魔された
(取られたくない!!取られたくないんだ…瑞穂だけは…)
からかってしたんじゃない…取られてしまう前に、僕を感じて欲しかったからしたんだ
たった少し…触れるだけのキス
「瑞穂…」
机の前で頭を抱え、大好きな彼女の名前を呟いた
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