5月

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サッカーの練習中、何かにつまずいたかのように、前のめりに転びかけた  寸でのとこで足が追い付き転ばずに済んだ  つまずいた足元を見ると、靴ひもが切れかけていた  「なんだよヤバいじゃんか!!」 監督に申し出て、グランドの隅で紐の位置をずらして応急措置をした  グランドに戻ろうとした時… ふと、嫌な予感がした  なんとも言えない嫌な感覚  その嫌な感覚は…自分の家の方角から感じた  「好きだから…って……」 突然のいきなりの夕君の告白にびっくりとパニックが襲う  好きって…どこまでの意味? 幼なじみとしての好きなの?  それとも… 頭の中と、心の中が追い付かない  私の身体は何故か、藤堂家を駆け出していた  僕の突然の告白に、瑞穂がパニックになり、家から出て行った  「ちゃんと意味伝わったかな…?幼なじみとして好きってことじゃないこと…」 瑞穂が出て行ったドアが開け放たれたままで…今、家に一人だということを実感した  告白してしまったから…瑞穂は5時に戻って来てくれるのだろうか… もしかしたら…来てくれないんじゃないか… 急に不安が襲ってきた  告白するべきではなかったんじゃないか… この事で、これからギクシャクしたら… 嫌な考えばかりが頭を巡る  昨日…抱き締めたことも  キスをしたことも  今、告白したことも…  部活が終わった  夕方4時  俺はダッシュで家まで帰った  駅まで行って、電車に乗るなんてまどろっこしいことしずに、走った方が早い気がしたからだ  結果は、たいして変わらなかった  ただ急く気持ちを満足させるために走ったようなものだ  練習後も、まだこんなに体力があったことに自分でも驚いた  玄関ドアを勢いよく開け、リビングに駆け込む  ミィの姿を探した  「ハァ…ハァ…ハァ………い、居ない……」 膝に両手をつき、息を整える  落ち着いて見渡すと、ソファーに夕弥が座っていた  俯き、少しうなだれたように  「夕弥…ミィは?」 「………5時に……戻って来るって言ってたけど………」 「けど?」 「………来ないかもしれない……」 「それって……どういう意味だよ!?」 「………告白……してしまったから……」 「こ、告……!?」 俺の喉は詰まって、声が出なかった  .
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