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夕方6時
リビングのソファーに二人ともぐったりと沈んだ
「本当に来ねぇな…」
「来ないと思うって言っただろう?」
「どうしてそう思ったんだよ?」
「瑞穂…パニック状態だったから…」
「そっか…パニックになると…ミィは空回りすっからな……」
「ああ…」
「それにしても…腹減ったなぁ……」
グゥ~
二人のお腹が同時に鳴る
「「あ…あははっ♪」」
「どうすっか?晩飯?」
「デリバリーするか?」
「味気ねぇなぁ~ミィの飯の後に出前ってのは…」
「食いっぱぐれるよりはマシだろ?」
「まぁな~。じゃあ何にする?」
「そうだな…」
ピンポン♪
「「ん?」」
「まだ頼んでねぇぞ?」
「瑞穂…かな?」
「!?」
二人同時に玄関に走った
我よ我よと扉を開けると…
「?誰も…いねぇぞ?」
「…!!朝弥………下…」
「下?」
玄関扉の下辺りに布に包まれた30センチ四方の箱らしき物が置いてあった
夕弥がそれを拾い、二人でダイニングに運んだ
布の縛り目を解くと
「弁当箱?」
「みたいだね…」
弁当箱を布から下ろし、テーブルに置くと、下から小さなピンク色のメモ用紙が
『今日は、お弁当でごめん』
その一文だけが書かれていた
「ミィ…」
「瑞穂…」
(やっぱり、顔合わせ辛かったんだ…瑞穂らしいというか………でも…ちゃんと好きって伝わったってことかな…)
会えないのは寂しかったが、気持ちが伝わったことに少し嬉しく感じた夕弥
「うん旨い♪やっぱミィの飯、旨いわ!!嫁にならねぇかなぁ♪」
お弁当を先につまみ食いして、夢を語る朝弥
「俺も告ろかな!!夕弥だけ意識されて、俺だけのけ者ってのは癪だからよ!!」
指を舐めながら、同じ土俵に立つことを宣言する朝弥
「選ぶのは瑞穂だよ?」
「それは、さっき俺が言ったセリフ!」
「「はははっ♪」」
あと数日の休み
きっと瑞穂は、顔を見せないだろう
それでも
幼なじみなだけでいるより…男として意識してもらえることを選んだ二人だった
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