5月

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顔を合わせて、なんて顔が出来るかわからなかった  恥ずかしいってのもあるけど… 小さな時から一緒だった幼なじみが急に男…という存在に意識するなんて… 「行けない…」 でもお腹空かしてるだろうし… どうすれば… 「お弁当!!」 玄関に置いて、ピンポンダッシュすれば大丈夫! 「この方法なら…よし!!」 それから必死に、てきぱきと下拵え、調理、箱詰めする  「これで良し!」 「ふぅ……朝君なんか足早いから、ピンポンしたらすぐダッシュしないと!」 藤堂家玄関前で息を整える  「せぇの!」 ピンポン♪ ダッシュ!!  たった数歩の距離のお隣さん宅から、ダッシュで家に帰る  バタバタと足音たてて、玄関に滑りこんだ  丁度、玄関扉を閉めた同じタイミングで、お隣の玄関扉が開いた音が微かに聞こえた  どうやらお弁当に気付いてくれたようだ  「ふぅ…緊張した~」 今は、これしか出来ないけど…ごめんね  まだ、パニックっていうか、どう接していいか分からないんだよね… きっと、そのうち…普通に… (普通?……好きって言われて、普通に出来るのかなぁ?) 出来るわけないか…きっと…これから…何かが変わってくんだろうなぁ… そう瑞穂は思った  翌日  私は朝から、家の掃除をしていた  明後日には両親が帰って来る  「汚ないって言われたくないもんね~」 まぁ、そんなに汚れてもいないんだけど…  鼻歌混じりにお掃除  お昼には、とっくに終わってしまう  リビングで、休憩がてらコーヒーを飲んでいた  ピンポン♪ 「ん?誰だろ?」 パタパタとスリッパを鳴らし玄関に向かった  「はぁい。どちら様ですか?」 「俺♪」 「俺?…………」 「俺だって!!」 「はっ!?新手の俺俺詐欺!!」 「ってバカ!ミィ!!俺だよ。朝弥♪」 「と、朝君!?ご、ごめん今開けるね!!」 「おぅ♪」 「俺俺詐欺が、直接家訪ねるかよ…」 「だって………俺俺言うから…つい……」 「本当…どっか抜けてんな♪」 「バカにしに来たの?」 「違げぇよ!ほい♪これ」 手渡されたのは、昨日のお弁当箱だった .
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