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「今日は部活休みなんだ♪」
「そうなんだ」
「おっと、弁当Thank Youな♪旨かったぞ!!」
「お粗末でした」
「本当に旨かったって♪嫁に来て欲しいくらいだから♪」
「やめてよ…朝君までからかうのは…」
「俺まで…?誰か言ったのか?」
「えっ!?べ、別に…」
「ふぅん…」
「あっ、そうだ!!なんか飲み物出さなきゃね!何がいい?」
「コーヒー欲しいな♪」
ソファーにふんぞり返りねだる朝弥
「コーヒーね!煎れてくるね」
慌ててキッチンに向かった瑞穂
(夕君と似たようなこと言うんだから…嫁…とか……)
朝弥に背を向けながら、豆を挽いて準備をし始めた
香ばしい薫りがたち上がる
挽きたての薫りは格別だと思い、目を瞑って堪能していたら
後ろから、ふんわりと暖かな腕に包まれた
「えっ?」
振り返ろうとしたすぐ顔のそばに朝君の顔が!!
私の肩に顎を乗せ、柔らかい笑顔で目を瞑っていた
「と、朝君!?」
いきなりの抱擁にびっくり&パニック
「な、何!?」
「ん~いい匂い♪」
「こ、コーヒーね?」
「違う…」
「な…」
「ミィの髪…いい匂い…甘い匂い♪」
「朝君何?どうしたの?は、離して!?」
「ヤダ…」
「ヤダって…」
「………夕弥に……」
「えっ?」
(どうしていきなり夕君の名前?)
「夕弥に告られたんだろ?」
「えっ…なんで…」
「………俺も……俺も、ミィのこと好きだからな…」
「えっ、何突然!?」
「俺も、ミィのこと…女として好きだからな…結構前からなんだぞ……ずっと好きだった…夕弥が告ったって聞いて……俺も伝えようって思ったから言った…」
「な…」
「それを伝えに来た……じゃあな!」
暖かかった背中が、一気にひんやりした
夕君に続いて、朝君からも突然の告白
(夕君に聞いたって…)
「えっ、えっ!?えぇ!!」
やっと事態を把握して大声をあげた
慌てて振り返った先には、もう朝君の姿は無くて
挽きたてのコーヒー豆の薫りだけが、そこに漂っていた
唯一残っていたのが…抱き締められた腕と胸の感触…そして…耳に残る朝弥の告白の言葉だった
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