第二話 旅立ち

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「生きてる意味……あるのかな」 思った言葉が口に出てしまっていた。 キッチンで悲しそうな顔をして俺を見つめる男を見て……すぐに後悔する。 「……ロイ様」 ……俺は何て弱いのだろうか。 ……いつも誰かを傷付けてばかりだ。 気まずくなり俯いていると、男は朝食の支度の手を止め、俺の目の前に歩いて来ると、そっと跪き俯く俺の顔を見上げた。 「国王様が亡くなられた今、王家の血筋はロイ様のみ。このセレリアを治められるのは……ロイ様だけです」 男はそう言うと、とても真剣な顔をして俺を見つめる。 その男の言葉に、急にもう会えない多くの人達を思い出し、胸が締め付けられる様に苦しくなる。 またツキツキと痛み出した右肩に手を当てながら、精一杯の笑顔を作った。 「セレリアが無くなった今じゃ……王族も何もないだろう?」 痛みを悟られない様に最高の笑顔を出したつもりだったが……どうやら失敗したらしい。 男の瞳が悲しそうに揺れた。 「俺は勇者じゃなかった。何も救えず……何も守れなかった。城も、家族も……町のみんなも」 ……違う。 こんな事が言いたいんじゃない。 これじゃ彼を悲しませるだけだ。 分っているのに口は勝手に動き続けた。 「……俺は……何のために……」 俯き拳を握り締めたまま、声を詰まらせる。
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