第二話 旅立ち

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この村ではパンを手に入れるのにも苦労する。 植物も育ち難い土地らしく、野菜もあまり手に入らない。 男は自分の食べる分を減らしてまで、俺をここに置いてくれているんだ。 今まではその事に気付かない振りをしていた。 ……自分の居場所を守るために。 ……でも…… 酷く痩せてしまった男の姿を見つめていると、右肩の痣が……まるで何かを訴える様にキリッと痛んだ。 その瞬間、不意に古ぼけた棚の写真に目が留まった。 そこにはさっきと変わらない優しい笑顔が俺に向けられている。 ……分かっていた。 すでに傷は癒え、俺がここで立ち止まる事は許されない。 ただこの男の優しさに……甘えていただけなのだと。 ……もう……ここには居られない。
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