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「魔物が出たぞ!!」
急に外から聞こえた声に、考えるより先に体が動いた。
ここは二階であったが裸足のまま窓から飛び降り、地面に上手く着地すると同時にキョロキョロと辺りを見回す。
「誰か!!あの子を助けて!!」
一人の女が男に腕を掴まれながら、何かを懸命に叫んでいる。
女の叫ぶ方向に視線を移すと、そこには……黒い『異質なモノ』に幼い少女が今にも食べられそうになっているのが見えた。
「この子は絶対に食べさせないんだから!!」
精一杯に叫ぶ少女の腕の中には、鶏が一羽抱えられている。
愛らしいクリっとした瞳に涙を浮かべ震えながらも、少女は目の前の『異質なモノ』を睨みつけていた。
黒く長い体はとぐろを巻き、大きく裂けた口からは鋭い牙が見え、血の様に赤い不気味な瞳が少女を捉えている。
……マズイな。
小さく溜息を吐くと同時に、地面に落ちていた石を魔物に向かって投げ付けた。
《……ギャ!!》
魔物は小さな悲鳴を上げると、赤い瞳を光らせてこちらを睨む。
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