第十一話 迷子の森

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「……今、女の子の声が聞こえた」 そう言ってセリアは驚いた様に目を丸くして、キョロキョロと辺りを見回した。 「俺もだ」 ジルはそう呟くと、セリアと同じ様に声の主を探しているらしい。 ……どうやら今の声は二人にも聞こえた様だ。 「だからここに居るってさっきから言ってるだろ!!酷いよ!!二人して冷たい目で見てさ!!マジで傷付くわ~」 そう言って拗ねた様に頬を膨らませフイッと顔を背けると、二人は困った様に顔を見合わせた。 「……ご、ごめんてば。でも声は聞こえるけど全然見えないよ?」 セリアはそう言ってご機嫌を窺う様に可愛い笑みを浮かべて俺の顔を覗き込む。 「その二人には無理よ。普通の人間に私の姿は見えないはずだから」 目の前の少女は素っ気なく答えると、ヒュンヒュンと二人の目の前を飛んでみせる。 しかしやはり二人にはその姿は見えないらしい。 二人は目の前を煩く飛び回る少女に全く気付かない様だった。 「でも何故か貴方は私の姿を見る事ができた。これはきっと運命だわ。お願い……貴方に手伝ってほしい事があるの!!」 少女はそう言って勢いよく俺の顔面目掛けて飛んで来ると、ほんの数センチ離れた所で急停止し、キラキラと輝かせた瞳で真っ直ぐに俺を見つめた。 「て、手伝うって……何を?」 痛む鼻を押さえたままそう問い返すと、少女は少し表情を曇らせ俯いてしまった。 「この森の《結界》が消えてしまいそうなの。結界が消えてしまったら、この森に生きる多くの命が消えてしまう」 「……ケッカイ?」 聞いた事も無い単語に小さく首を傾げる。 「……結界……か」 セリアが急に小さく呟き、何かを考えるよう少し視線を落とした。 どうやら二人にも少女の声は聞こえているらしく、ジルも静かに少女の話に耳を傾けている様だった。
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