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ヒットした拳撃。 モノの見事に桃の側頭部にクリーンヒットした。
のた打ち回る桃。 その姿に少しだけ罪悪感が、
「全くもって湧かないわね。 自業自得ね」
一片たりとも湧かない。 何というか自業自得。
「ヒドい。 ミィちゃんってばヒドいわ。 あんまりよ」
ワケの分からない言葉遣いをする廊下に転がる何か。
「自業自得でしょ。 桃が余計な行動しなければ避けられた結果よ」
「うぅ、なんというFカップ。 罪悪感とかその胸に行き届かないのかぁ」
ないワケじゃない。 勿論、罪悪感はあるが桃には浮かばないだけである。
コレが白だったら土下座モノである。 桃が悪い。
「よって桃が土下座するのよ」
「なんという傲慢さッ! 胸がデカけりゃあ何やっても許されるのかッ!」
そんな事は勿論ありはしない。 ただ、
「桃にソレを言われると無性に腹が立つわね」
「泣くぞッ! そして胸を揉みしだくぞッ!!」
「黙るまで蹴りいれるわよ」
「のぅだばぁ!!? ヒドい、ヒド過ぎる!
ソレでも親友かッ!?」
えぇ、『辛』友ですとも。 辛く当たらせて貰いますとも。 こう、遠慮なく。
「ソレは間違えている。 間違えているぞ親友。
親友なら何をしても許されるなんて思うな!」
ビシリ、と私に指を指す桃。
「えぇ、親友なら許されると思わないで、
胸揉もうなんて」
固まる小学生みたいな出で立ちをした桃。
指した指がどこか滑稽でさえある。
ひゅ~、と小説やマンガみたいな生温い風が通り過ぎる。
「え~、それでミィちゃんはいつになったら実家から移り住むんだっけか?」
所在を失った指を引っ込める桃。 流石に桃と言えども恥ずかしかったらしい。
「あからさまに話し変えたわね。 別に良いけど。
明日には迎えが来るらしいから明日ぐらいまでは実家かな」
「そっかぁ。 良かったね。 愛しの〝おにぃちゃん〟と一つ屋根の下で暮らせて」
「………………………………」
「ん? どしたの、そんなに難しそうな顔しちゃって。
嬉しくないの?」
???マークを頭の上に乱舞させる桃。
まぁ、確かに嬉しくはある。 あるのだが。
「…………………おにぃちゃん、私のこと覚えてるかな」
不安になってしまう。
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