1章

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「別にそんな大きな病気じゃないわよ。ただの疲労から来る目まいだそうよ」 母さんはベッドの上で上半身だけ起こしたままそう言った。 今朝母さんが倒れた。原因は疲れと貧血だそうだ。お医者さんがいうには点滴を打って安静にしていれば明日にも退院できるそうだ。 「まったく。びっくりしたぞいきなり倒れるから」 そう父さんが言った。倒れた時にまだ父さんが会社に行ってなくてよかった。僕だけじゃなんもできなかった。 母さんはもともと体はあまり強いほうではない。それでも体調が悪いことを全く顔に出さないから,昔働いていたころは今回みたいに倒れることが何回かあったらしい。 我慢してしまうところは母さんの悪い癖の一つだ。もっと弱音を吐いてもいいのに。
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