愛するきみへ

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次の日 旦那が朝、保育園に送りに行って門を出たところを見計らうと息子はこっそり門を出て旦那とは反対方向に走り出した。 もちろん保育園では息子がいないと大騒ぎになり、 旦那の会社にも電話がかかってきた。 警察も息子を探した。 その頃 息子は一本の黄色い花を 持って歩道を歩いていた。 その先には病院がある。 わたしが運ばれた病院だ。 そして 彼女が入院している病院だった。 病院の窓口で彼女の名前を言って看護婦さんに彼女の病室まで連れていってもらった。 彼女の病室に入ると 彼女は感激で泣き崩れ息子を抱き寄せた。 息子は照れながら黄色い花を彼女に渡した。 そのあと旦那と警察が病院に入っていった。 わたしは一時はどうなるだろうとハラハラしたけど彼女に花を渡す息子をみて ホッとした。 いつかこの時がくることはわかっていた。 許されるならば何年も息子の成長を見ていたいけれど そうもいかないらしい。 上から光りが降りてきた。 老人が 「やっと逝くことができますね。」 と言うとわたしの隣で同じ光りを浴びた。 「えっ?あなたも?」 わたしがびっくりして尋ねると 「わしは、孫のことが心配でね。でもあなたの息子がどうやら認めてくださったみたいだから安心して逝けますわい。」 「えっ?彼女のおじいちゃんだったんですか!」 老人は微笑むと 「さぁ、息子さんに最期の別れをしなさい。」 わたしは下を見た。 息子は泣きながら旦那に怒られていた。 愛するきみへ ママ、死んじゃってごめんね。 パパと新しいママと仲良く暮らすんだよ。 ちゃんと二人のいうこと聞くんだよ。 あなたがいい友達に出会えますように。 あなたが大きな病気しませんように。 あなたがいい人生だと思えるような人生を歩めますように。 あと・・・・・ 「もう時間だよ!」 老人が言った。 わたしは急いで光りがある方向に走った。 わたしの事故現場では 息子が置いた黄色い花が一本、気持ち良さげに風に吹かれていた。
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