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「まったく!
あのくそ親父、俺の扱いが荒すぎるぜ!
ちくしょう!!」
上着を脱いだ先程の男は髪をくしゃくしゃにし眼鏡を握り潰し、女の前で悪態をついていた。
この女の名前はアルヱ、長い髪に綺麗で優しそうな顔。
年は男よりもいくらか若いように見える。
「それは、あなたがいつも悪いコトを考えているからよ、アーク。
あのお方は全てお見通しなのよ。
それと、毎度毎度眼鏡を壊さないの。」
と言いながら握りつぶされた眼鏡に手をかざすとみるみるうちに眼鏡が元に戻っていく
アークは眼鏡が治してもらったことはこれが一度や二度目ではないようだ。
当たり前のように治った眼鏡を受け取り
そして、礼も言わずに、アークは喋り続ける。
「それに、俺のことを絶対名前で呼ばないし!
物かなんかだと思ってんのかよ!!
あぁ、むかついたなぁ。
絶対逃げてやる!!」
「アーク、いくら鍵があるからってそれは無理だわ。
諦めなさい。」
アルヱはきっぱりと、だが少しなだめるように言う。
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