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その日は飲んだ。
我を忘れるぐらい飲んだ。
サラリーマンのおっちゃんが毎晩飲み歩く理由がちょっとわかった。
けど次の日、
気持ち悪くなって、
おっちゃんの二日酔いの辛さもわかってしまった。
おえー。
あー気持ちわる。
頭グワングワンしても、
吐き気もんもんしてても、
学生の本分はお勉強。
痛い頭抱えて、
気持ち悪い胃押さえて登校。
「おっはよ☆リリィ」
「お”は”よ”~愛衣菜ちゃんなんでそんな爽やかなん?」
「あたしお酒強いもん☆」
「すごいな…あたしより飲んでなかったけ?」
「そういえばサキも潰れてたっけ…リリィ一緒に帰ったんじゃないの?」
「知らん。覚えてへん~」
愛衣菜ちゃんと講義の始まる前に教室でそんな話してたら、
「あ、着信かも。ケータイ震えてる」
「彼氏?」
「ワタシ、彼氏、イマセーン」
「は?」
愛衣菜ちゃんが顔をしかめてあたしを見た。
その顔に気付かないふりして、電話に出た。
『もしもしーリリィちゃん?』
「サキ?」
電話から漏れた声にそう聞いてきた愛衣菜ちゃんにうなずいた。
「どうしたん?てか『国際協力論』取ってなかった?授業始まるけど遅刻~?」
『は?何言うてん?今日約束したやん』
「え?約束?なんの?」
『ひっど!!それはないわ!ひどいってリリィちゃん!見損なったわ!』
電話の向こうで、身に覚えのない約束で文句を言われて。
頭痛いのと胃気持ち悪いのでイライラしてきたかも…
なんでそこまで言われなあかんねん!
「んで!?今どこおんの?家?大学?」
『ほんまに覚えてないねんなー。S大の前やん』
「…へ?」
ポカンてなった。
そんなあたしの表情の変化に愛衣菜ちゃんも首を傾げた。
S大って言うたら…
『リリィちゃんが「英治が浮気してるかもしらんから大学乗り込んだるー」って言うて「一緒に来て」って言うからS大の前で待ってんのに!
それを約束忘れてるって
めっちゃひどない!?』
忘れてた―――――!!
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