880人が本棚に入れています
本棚に追加
「はぁ!はぁ!
ごッめ―――ん!!!」
息切れながら、パンっと両手を顔の前で合わせて平謝り。
それでも目の前の顔は不機嫌で…
「ほんまひどいよなー」
「ごめん!すいません!ごめんなさい!」
「誰のために授業サボってまで他大学来たんかなー」
「すいませんごめんなさいすいません!」
「Aランチ」
「…おごらせていただきます」
下げてた頭を上げたら、
さっきとは変わって
ニカっと歯見せた笑顔。
……くそう。やられた。
「ほんじゃさっそく行こっか」
「うん!」
うちの大学より大きな門を通って中へと入った。
S大。
英治の通う大学。
すれ違う学生達。
心なしか可愛い子多くない?この大学…
しかもみんなオシャレやし。
あかん。
女子にしか目いかん。
ここに…
「こっここに英治の浮気相手が…!」
「いやいや、まだ浮気って決まったわけちゃうがな」
ゴクっと緊張の息を飲んだあたしに、
ビシッと気の抜けた顔でツッコまれた。ご丁寧に手つきや。
「や!でも昨日も散々言うたかもやけど」
「散々どころの騒ぎじゃないくらい聞いたけど」
「や!あんな、ほんまに浮気の線は濃いと思うねん。
そらな、あたしかて信じたくないけど、けど英治の最近の冷めた態度、それにあたしより友達優先、ていうかそもそもそのバイトもさー」
「あ、ごめん、ちょっとトイレー」
「ちょっと―――!!!」
人の話の途中でトイレて…
冷たいな…。
「はぁ」っとため息を着きながら周りを見渡せば、
ちょっと行ったところにベンチがあって、
そこに腰を下ろした。
周りには…多分これ桜の木やな。
桜の木がずっと学内の奥へと続く道に並んで立ってて、
春はきっと綺麗なんやろなー
なんて思いながらしばらくそこでボーっとしてた。
「――ね!君1年生?」
最初のコメントを投稿しよう!