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「はぁー」 英治がわざとらしい大きなため息をついた。 それにはさすがにムッってきて。 「何でそんな嫌がるん?」 「嫌に決まってるやろ。おまけにあのジャニ男も来るんやろ、最悪やんけ」 「サキくんは友達やねんからええやん! そんなにあたしのこと友達に紹介したくないわけ? そんなにあたしのこと知られたらまずい理由があるわけ?」 「あ?」 英治が鬱陶しいそうな顔であたしを見た。 あかん、 ここらへんで止めとかな今日の親睦会の意味が――… 「英治さ、あたしが東京出てきて、こうやって一緒におれるようなっても全然嬉しそうちゃうよね」 「……」 「むしろ迷惑な感じ?」 「は?お前何言って」 「もしかしてもうあたしのこと好きじゃなくなったん?」 「…お前アホちゃん?何言い出すねん」 付き合ってられへんわ。 オレ帰るわ。 英治がそう言って、あたしに背中を向けた。 歩きだした背中に、あたしは叫んだ。 「浮気してんやろ!!」 「…は?」 英治が振り返って、 「今日だってその子来るからあたしに来てほしくないんやろ!?」 「は?」 「その子にあたしのこと知られたくなかったから大学にも来てほしくないんやろ?」 「ちょっ、何?どうしたん?」 わけわからんって、 急に英治が怒るんやなくて心配した顔であたしのとこに戻ってきたから、 あかん。 泣きそう…。 あたし、ほんまはずっと不安やってん。 英治がもし、もし、もしほんまにもうあたしのこと好きちゃうかったらってー… 「はぁ。泣くなって。どっからそんな勘違い出てくんねん」 「だって英治冷たいやん。あたしのことめんどくさそうやん。ずっと不機嫌やん。」 「それは…」 「浮気してんやろ?からあたしのこともうどうでもいいんやろ!?」 「ちゃうって」 「ちゃうくないもん! そうやもん! あたし英治のことめっちゃ好きやのにどうしたら――…」 ギュッ! 突然、めっちゃ力強く抱きしめられて、 びっくりして涙も止まって。 「ちゃうねん」 「……」 「お前のことどうでもよくなったとかそんなんやなくて」 「……」 「オレはただ――」 「おいー!!!いきなり見せつけんなよー!!」  
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