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バッと英治とあたし、お互い離れた。
英治の背中の向こうから数人の男女がひやかしの声を上げながらこちらに向かって歩いてくる。
その中にはユージくんもいて、
「英治もう酔ってんの?堂々とイチャつきすぎ」
「えー!あの子が噂の英治の彼女?見たい見たい!」
(やば…!顔やばいやんあたし!)
慌てて涙を拭いて、なんとか普通の表情をつくろうとしたら――…
グイッ!
その手を英治が掴んで、
そのままみんなに背中を向けて歩き出した。
「は!?英治?どこ行くんだよ?」
「悪いけど今日パス!」
「「「「はぁ!?!?!」」」」
一斉に聞こえた驚きの声を無視して、
英治はどんどん歩きだして
あたしはおろおろしながら英治について行くだけ。
「えっ英治!?」
「なに」
「どこいくん?友達いいん!?後で怒られんちゃん!?」
「ええねん、今はあいつらよりお前の方が大事やからええねん!」
「!」
“お前の方が大事”
そう言った英治の横顔に、
胸がきゅん!ってなったのは言うまでもない。
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