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銃声が響く中、僕は、両手に剣を持ったまま、光の射さない森の中を一直線に駆けていた。
『後方二十m、右からの射撃、来ます』
「了解!」
慣性に逆らって足を踏ん張り、その場で立ち止まる。脳へ直接響いた声に従って振り返ると、視界に弾道の予測線が映った。その上をなぞるように、振り向き様、右手の剣で一閃。
「くぅっ!」
飛んで来た銃弾を弾き飛ばせた――と思ったんだけど、弾丸の衝撃を殺しきれず、二、三歩分後ろに弾かれて、思わずたたらを踏む。
「あぁっ、くそっ」
頬にじわりと痛みが走った。どうやら、受け損なったらしい。
痛みの次に熱が込み上げるのを感じたけど、僕は銃声のした方向へと、目的地を修正。今一度足を一歩踏み出した。
『索敵……最後のグループ発見しました。――もう一射来るよ』
「っせあ!」
続く第二射は、視界に表示された予測線と、寸分の狂いも無く、振り抜けたようだ。
微かな手応えと共に、左右二つに別れて逸れた筈の銃弾、それらが両方の耳元で唸りを上げて過ぎ去って行く。
これが体の中心に当たったら……そう思うと、冷や汗が体中から溢れそうになった。
大丈夫だ。大丈夫な筈だ『彼女』に、僕は全て預ける事を決めたのだから。
振り上げた手を戻した時だ。不意に、視野の片隅に青い球体が点滅を繰り返した。
『仲間-バディ-、到着』
無機質なアルトの音声が、コンマ数秒の間で僕の頭に言葉を投げかける。
この……会話とは違う、独特な情報の瞬間認証方法が戦闘中の生死を分けていた。
でなければ、僕は飛んできた一発の銃弾で直ぐにDead判定。実戦で言えば『死んで』いた筈だ。
ただ、一瞬で増える思考に慣れないからか、まだ音声が頭に響く度にドキリと来るけど。
「無事ですか?」
今度は……肉声。バディからの通信だ。
「後はそこの数人だよ、準備は?」
「完了-レディ-です!」
「索敵状況を送る! 行くよ!」
『データ送信、完了しました』
「確認。先行します!」
敵兵の配置を受信、把握出来たのか、後から追い付いた大きな盾を構えた少女が、僕を追い抜いて前に駆けていく。
『射撃体制、左から、一、二、五。続けて三、四』
サポートの声が脳に響いた瞬間――視界に半透明で映し出された人。
左から一人目・二人目・五人目が、次々に銃を構えて、発砲。
――銃口が擦れて一瞬、白い閃光を放った。
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