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──暗い、暗い洞窟の中。
入口から少し狭い緩やかな傾斜を下りていった先に少し大きめの空間がある。
そこは、くるぶしがうまってしまう深さの水が広場を満たしており、上にある穴からさしてくる光が幻想的な雰囲気を醸し出している。
そして、その幻想的な光景の中心、地面に刺さり光に照らされている一本の黒い剣とその側に立つ赤髪の少年。
「ハァ…ハァ…ハァ、…これは…」
口から少量の血が垂れていて呼吸も乱れている。肺にダメージを負っているのだろう。
満身創痍の少年は肩で息をしながらも目の前の黒い剣から目を離さない。
──少年よ、何を望む?
「──俺は…」
突然響いた声を不思議に思わず、ゆっくりと黒い剣の前に行く。
「…力が欲しい」
そう言いながら右手を黒い剣の柄に添える。
──何の力だ?
謎の声の再びの質問に右手にグッと力を込める。
「友達を…仲間を守る力だッ!!」
──よかろう
そして、黒い剣は解き放たれた。
『我が力、そなたのままに』
──────
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