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眠くなるような暖かさをもつ季節、春。
「はぁ……」
今ため息をした俺は、ゆっくりと『アイメル魔法学園』と掘られている壁の横にある門をくぐっていく。
周りを見渡すと、自分と同じ制服を着た人が何人もいる。
何人かネクタイの色が違う人が見られる。学年別によってネクタイの色が分けられているのだ。
1年が黒、2年が緑、3年が青。そして、学年で成績優良者10人は赤いネクタイである。ちなみに俺のネクタイは緑。つまり、普通の高校2年生だ。
友達と談笑している者も多数いるが、俺は一人。決して一人が好きなわけではない。慣れてしまったのだ。
そしてこちらを見て何人かの生徒は軽蔑や哀れみの視線を向けてくる。これももう慣れてしまった。
「エーン!!」
誰かが後ろから俺の名前を呼んだ。ゆっくり声がした方向に顔を向ける。
そこには高身長で銀髪の上、顔のパーツが整い過ぎてるというぐらいのイケメンが、手を振ってこちらに向かってくる。
「よ!」
ニカッと、輝かしい笑顔を向けて右手を軽く上げている。
「おお、リベル」
俺も右手を上げて挨拶をした。そこで、周りがざわつきだす。
「リベル君、今日もカッコイイ!」「何であんな天才が落ちこぼれといるんだよ」「いいなぁ~、リベル君といれて」
そう。俺こと、エン=ヴァーイルは、落ちこぼれという存在なのだ。
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