第一章

5/18
前へ
/372ページ
次へ
談笑をしながら教室に向かった二人。 そして、今二人がいる目の前には、2ーBと書いてある標識のついた教室がある。 「じゃあ、入るか」 リベルはそう言い、ドアを横にスライドさせて開ける。 リベルが教室に入ると、教室の中で雑談をしていた生徒達が、話を止めリベルを見る。 「お、おい。あれ、“十指”(じっし)のリベルだよ…」「本当だ…」「カッコイイー!!」「結婚してぇー!!」 所々おかしな部分も混じっているが、やはりリベルは凄いという声が多い。 ちなみに“十指”とは、学年で十本の指に入る者。つまり赤いネクタイを着けている人達のことをいう。 そして、リベルの後に入ってきたエンを見て、教室にいるほとんどの生徒達は一目散に態度を変える。 「落ちこぼれかよ……」「なんでリベル君と一緒にいるのよッ!!」「落ちこぼれと同じクラスとか最悪だぁ~」 エンを非難する声が聞こえた。 教室にいる生徒全員とは言わないが、それでも半分近くの生徒が非難の声をあげている。やはり、貴族が多いということが分かる。 リベルには聞こえていない様子だが、エンには聞こえている。 普段からこんな風に言われる生活が続いていたため、他人の話に聞き耳をたてることが、癖になってしまっているからだ。 またか、と思いつつ、前に貼ってある座席表を見てから自分の席へと向かった。
/372ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1086人が本棚に入れています
本棚に追加