第一章

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エンの席は、皆が憧れるであろう一番後ろの窓側の席だ。リベルは、エンの一つ前である。 この学園の規模はそうとう大きい。そのため、一つ一つの教室もかなり広い。 席は、前の方にいくほど低くなっていて、後ろの方にいくほど高くなっている。分かりやすく言うと、映画館のような座席になっている。 黒板も普通より大きく、相当な文字の量を書き込めそうだ。 エンは、それらを見ずに窓の外をただ眺めている。 リベルは、沢山の女子が寄ってきていて大変そうにしている。 そんな時間が少し経つと、 カラーン…カラーン…カラーン……。 鐘の音が、学園中に3回鳴り響いた。 綺麗でどこまでも澄み渡りそうな音。つい時間だということを忘れ、余韻に浸ってしまう人がいるとか。 鐘の音が鳴ったのに気付いた生徒達は自分の席へと戻っていく。 リベルは、周りにいた女子達がいなくなると小さく安堵の息を漏らした。 最後の人が席についたとこで調度よく、 ガラガラ── 「皆いるか?」 女性、というよりは、女の子と思われる、高い声と共に先生が入ってきた。
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