チョマ

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そのこは、あたしのあたまに、小さな体を押し付けるように、すりより、やがて、そのまま眠ってしまった。 あたしは、眠ってばかりいた。だから、つられて、そのこも眠ってばかりだった。 N市。 それは、あたしが住んでいた街の川を越えた隣町だ。あたしは、そこにいる。 「チョマ。」 あたしは、そのこの名前を呼んだ。もこもこと動く。寝ぼけながら、必死であたしの髪に潜り込んでくる。 チョマは、生まれて間もない頃、母親(三毛猫のトメ)を、事故でなくした。 ここには、猫がたくさんいる。あたしの足元に黒猫がいる。あと、三匹。どこかに、隠れている、または、散歩に出ている。 ここに来て、一週間あまり、あたしは、ようやく、起き上がれるようになっていた。
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