5人が本棚に入れています
本棚に追加
チョマは生まれて1ヶ月ほどの、子猫だ。母親を亡くして、すぐの頃、あたしと出会った。
チョマは、片時も、あたしのそばを、離れようとしない。
すぐに眠りにおちてしまうあたしは、チョマにとって、ひとでなく、同じもの。と、感じられたのかもしれない。
あたしのからだの傷は次第に治りつつあった。けれど、あたしは、自分を動かす、なにかにかけてしまった。
あたしは、ひとの好意に甘えるほか、なかった。
チョマはフジムラさんの猫だ。あたしは、すっかり、気力を、あるいは魂が抜け落ちたみたいだ。
退院の日、フジムラさんは、まるで家族のように、果物屋のトラックで、迎えにきた。
その車に、うながされるままに、あたしは乗り込んだ。
ぼんやりとした、ほの明るい日差しが差す午後だった。しばらく走ると、一軒の店についた。
最初のコメントを投稿しよう!