チョマ

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 夕飯にほとんど手をつけないまま、あたしは、ぼんやりとしてしまった。  「上行って休みなさい。」  お母さんに促され、素直に従った。チョマを畳におろそうとすると、細い爪をかけて離れようとしない。  結局、チョマを抱いて立ち上がる。    ふわふわで華奢な子猫は、眠る私の横で、はしゃいだり、丸まったりしていた。それを見ていると、安心した。  息をすると、胸のあたりが痛んだ。眠ることはできなかった。起きあがる気力もなかった。
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