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「お館様ぁぁぁ!!!」
バキッ
「幸村ぁぁぁぁ!!!」
ドゴッ
「お館さばぁぁぁぁ」
バキィ!!
「ぃゆきむらぁぁぁぁ!!!!!」
ドゴォッ
互いに殴り合う音と屋敷が壊れる音が木霊する…
「大将も旦那も…元気だねぇ…」
1人の青年が屋根の上からその様子を眺める
屋敷が壊れるのはもう既に諦めているようだ
下で殴り合う2人は…
「お館様ぁぁぁ!!」
「幸村ぁぁぁぁ!!」
……まだ続いていた
「はいはい、そろそろ終了!!」
青年が止めに入ればしばらくして音は止んだ
「いい汗をかいた…のぅ?幸村」
すがすがしい顔をしながら隣にいる者に話かける
「はい!!この幸村、お館様以上に汗をかいておりまする!!」
汗だくになりながらも笑って言う幸村と呼ばれる青年
「まったく…旦那?今すぐお風呂に入ってきなよ…沸かしてあるからさ」
緑の迷彩服を着た青年が呆れながら幸村に言う
「うむ!!佐助、かたじけないでござる!!」
コクンと頷き風呂場に走る幸村
「旦那、あんまり部屋走ると汗で転けるよ!!」
佐助と呼ばれた迷彩服の青年が後ろから声をかける
その瞬間…
ずでんっ
…なんとも間抜けな音が響いた
「まったく…」
やっぱりか…とでも言いたげな口調で言い、幸村に近づく…
これが日常だった…
これが当たり前だった…
そんな日常が変わるのは…まだ誰も知らない…
否、知る人など…まだいない…
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