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「そんなことより早く食堂いこーぜ!」
「大娯、そんなことじゃないよぉ?僕が支えてなかったら景くん転んでケガしてたんだよ?大娯が無理やり引っ張るから景くん転びそうになったんだよ?なんでそんな事なんて言えるの?悪いことしたらごめんなさいでしょ?友達でしょ?友達の心配しないの?それはおかしいことじゃないの?人間的におかしいことじゃない?大娯は人間的にっもが!「ストップです猿飛くん。」
早口でまくし立てながら皆元くんに詰め寄る猿飛くんの口を手で押さえつけて皆元くんを背に庇う。普段なら面倒くさくてそんな事絶対しないが猿飛くんの目を見て止めないとと思った。彼は昨日僕に見せたよりもっと猟奇的な目で皆元くんに詰め寄っていた。
「な、んでっ」
「皆元くん?」
怖かったのかブツブツ何かいいながら震えている皆元くんを振り返った。
「あぶねぇ!景人!離れろ!!」
将彦くんの声が響いたが一歩遅く、目にも留まらぬ速さで飛んできた拳は僕の左頬を確実に捉えた。
「なんで俺が悪いんだよ!!!景人がノロノロ歩いてるから手伝ってやろうと思っただけだし!!景人が勝手に転びそうになっただけだろ!俺は悪くない!謝らない!景人が悪いんだから景人が俺に謝るべきだろ!!!!」
僕は左頬を抑えながらぼうっとその言葉を聞いていた。将彦くんは何を言っているか分からないというように困惑している。猿飛くんに至っては僕が腕を掴んでいなければ今にも皆元くんに殴りかかりそうだ。僕はため息をつき左頬に当てていた手を俯いてしまった皆元くんの頭にのせた。まるでペットにするかのように。
「皆元くんはよかれと思ってやってくれたんですね。すみません気がつかなくて、でも、人に手をあげるのは良くないことですよね?次からは気をつけましょう?」
相手が人間でないならそれにあった接し方をする。皆元くんはまだ躾をされていない犬やネコのようなものなのだろう、ゆっくり教えていけばいいのだ。
「お、おれは、謝らないっ。」
「いいですよ。次は殴らないようにしましょうね。」
「……うん。」
「ほら、早く行かないとスペシャルオムライスなくなっちゃいますよ。」
「うん。」
僕はそっと皆元くんの背を押しながら行きましょうと言った。皆元くんは戸惑いながらも歩き出す。何かいいたそうな将彦くんと猿飛くんに目を向けて、ほら、二人も早くと促すとためらいがちに歩を進めた。
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