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その後は何事もなかったかのように元気よく僕の腕を引きながら皆元くんは会長様達と合流した。そこまでは良かったのだが、いつものように食堂に入って気付かれないようにばっくれようとしたら猿飛くんに腰をガッチリホールドされていた。無言で僕達は見つめ合った後(甘い意味ではない)根負けした僕が猿飛くんにエスコートされる形で生徒会専用ルームまでご招待されてしまった。旅は道連れというようにもちろん将彦くんを巻き込んで。
「龍牙やめろって!」
「あー?俺様が食わしてやってんだ。素直に喜べよ。」
「俺、一人でも食べれるし!!」
「そうですよ龍牙。ほら大娯が嫌がっているでしょう?その汚い手を離しなさい。」
「大娯、嫌がる、ダメ」
そして今、凄い茶番につき合わされている。僕の前に皆元くんを膝の上に載せた会長様、その右に副会長様、左に書記様。僕は隣に腰掛けている猿飛くんに小声で話しかける。
「いつもこんな感じなんですか?」
「んー、そだよぉ。馬鹿らしいよねぇ。てかあんなもじゃもじゃ膝に乗せて邪魔じゃないのかなぁ?カイチョー」
「てか、てめぇ今朝からキャラなんでちげぇんだよ。」
将彦くんがコソコソと会話に参加してくる。猿飛くんは鬱陶しいと言うように顔をゆがめた。たしかに昨日の今日で態度が変わりすぎだ。なにか吹っ切れたようにも感じる。
「べっつにー、強いて言うなら王子様のキスで眠りから覚めちゃった感じぃ?」
猿飛くんがニヤニヤと笑いながら僕に顔を近づけてきた。
「とんだ駄犬を目覚めさせてしまったようですね。あのまま永眠させておけば良かったでしょうか。」
「え?なに?腹上死させてくれるってぇ?僕張り切っちゃうかもぉ。」
最初は訳が分からないと首を捻っていた将彦くんだったが、猿飛くんの意味深な笑みをみて何か理解したようだ。顔を真っ赤にして勢いよく椅子を立ち上がった。うん、可愛い。
「はぁ?!てめぇ、なに、は?!」
「な、な、なんだ!どうしたんだよ将彦!!突然立ち上がるなよな!!!」
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