トラブル発生

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ぷくっと可愛らしくもなく頬をふくらませた猿飛くんを促すように首を傾げる。猿飛くんは少し、つまらなさそうに目を細めるとやれやれと言うようにため息をついた。 「僕、さっきも言ったはずだけどー?王子様のキスで目が覚めたって。」 「それが本気ならだいぶ頭が弱いなぁと思いますけど?」 「まぁ、半分くらいは冗談かなぁ。」 そう言うと猿飛くんは弄んでいた将彦くんの腕をスルッと離し僕の隣に腰掛けた。将彦くんが機嫌が悪そうに舌打ちして壁に寄りかかる。駄犬と忠犬、そんな想像がふと湧いたが、ないなと軽く頭を振って思考を戻した。 「僕ね、正直あのもじゃもじゃと君、気に食わなかったんだよね。」 僕が気に入らないというのはわかっていたが、皆元くんが気に入らないとはどういうことだろう。散々構い倒していた気がするが。 「あ、今、おかしいって思ってるでしょー。確かにね、初めは面白そうな子だなぁって思ったよ。僕たちに向ってあんなに馴れ馴れしい子っていなかったし。でもさ、最初だけ。繰り返される言葉も、何も考えてなさそうな発言も、誰にでも愛されて育ってきましたって感じの態度も、どれもこれも幼稚で危うい。」 一息にいい終えて、猿飛くんは少し寂しそうな顔をした。まるでそれだけの理由ではないと言うように。 「まだ、理由があるんだろ?てめぇのその気持ちわりぃ顔やめろ。」 先程まで黙っていた将彦くんが先を促すようにいった。言葉は少し乱暴だけれど。
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