トラブル発生

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「会長はさ、短気ですぐ暴力に訴えるけど、仕事熱心で根はすごく優しくてみんなを引っ張っていくカリスマ性も持ってるんだ。」 たしかに、中学で生徒会長をしていた時も、少し横暴ではあるが、全体を上手く纏めていて生徒からの人望も厚かった。 「でも、今は、仕事はしないし、ちょっとした事で生徒に当たるし、今じゃただの暴君。副会長もそれに気付いてる筈なのに注意もしない。挙句の果てには昨日なんか、僕とたけちゃんが纏めた新歓の資料にチェックもしないで風紀員に渡してきてくださいってさ。あの子が来てから生徒会はほぼ機能してない。このままの状況が続けばリコールだってされかねない。」 「昨日って....」 「そ、君と僕がここであつーいキスを交わした日。」 「いや、熱くはなかったです。肝が冷えるくらいおぞましかったと」 「ちょっと!本当に君失礼だね!」 別にいいけど、とため息をつくと猿飛くんは話を続けた。 「でさ、そんなむしゃくしゃしてる時に、君がいたってわけ、いつも何考えてんのかわかんなくて、もじゃ頭に振り回されても軽く受け流してて、暗くて陰気な地味メガネくんの君がー。」 「あなたも大概、失礼ですよ。」 「はじめは、少しからかって泣き顔でもいいから見てみようと思ったんだけど、意外というか予想以上にランランと目を輝かせて散々やられちゃって、かっこ悪い感じで負けちゃったんだよ。でも、それで結構スッキリしてさ、モヤモヤしてた思考が晴れて、このまま衰退するなんて僕が信じて付いてきた会長にはありえないって思ったんだよね。それには、まず僕が変わらないといけないと思ってねー。いつまでも中学生気分でいたらいけないんだって、今の会長がみんなを引っ張れないなら、僕が引っ張って、会長が目が覚めた時に、会長が築き上げてきたものをそのまま会長に任せたいんだ。」
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