浮き世、離れ立つ夜明け空

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いつもよりかなり早くに目が覚めた。 辺りはまだ薄暗い。 携帯を開けば時刻は午前五時を過ぎた頃。 二度寝……といきたい所なんだけど、パッチリと開いた瞳はそれをさせてくれない。 相変わらず、要は私を抱いたまま眠っていた。 起こさないようにゆっくりと、その腕から抜け出す。 テーブルに置かれたタバコを手に、音を立てないようベランダへ出る。 (身体に悪いからやめろって……) 何度となく要に言われて、禁煙したのは一年前。 それなのに、無性に欲しくなり一本だけ拝借した。 ジリジリと燃える煙草の先端。 吐き出せば白い煙が視界を濁す。 ベランダから見える薄暗い景色はビルばかりだけど、その間からもう直ぐ陽が昇る。 夜明け前。 昇る前の太陽の光が辺りを緋色に染め始めていた。 ――気味が悪い。 どうしてそんな事を思ったのか。 緋色に染まるビルを見て、突如吐き気に襲われた。 「うえっ……げほっ!!!」 たまらずしゃがみ込んで咳き込む。 (斬れ斬れぇぇぇ――) 何コレ? (二階だ、行くぞ!!!) 脳裏に荒々しい声が響く。 慌ただしい足音が響く。 冷や汗と悪寒に包まれ、溜まらず瞳を閉じ耳を塞いで身体を小さく丸め、鳴り止むのを待った。 頭が、痛い。気持ち悪い……要、誰か……助けて!!!                   
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